アメリカジョッキークラブカップ(AJCC)コース解説(中山芝2200m)
中山芝2200mCコース(Aコースから6メートル外に内柵を設置)の芝状態は、正面直線の内側に傷みがあります。
また、3コーナーから4コーナーの内側に傷みが出始め、外差しが決まりやすい馬場になっています。
中山芝2200m芝外回りCコースの1周距離は1,877.3mm、幅員は18~26m、直線距離は310m、高低差5.3mです。
コース全体の高低差の5.3mが、2階建ての建物に相当することをイメージすると、中山コースがいかにタフなコースであるかが分かると思います。
アメリカジョッキークラブカップ(AJCC)中山競馬場2200m外回りコースの全体像は、スタート地点は4コーナーを曲がり終えたホームストレッチの右端です。
芝2000mのスタート地点から少し右に移動したところからの発走となります。
最初の1コーナーまでの距離は約432m、スタート直後のゴール地点から1コーナーにかけて高低差2.2m、勾配率2.24%の1回目の急坂超えが待ち受けています。
2コーナーの手前で最高到達点を迎え、そこから外回りコースを使うため、2コーナーまでは直線に近い緩やかなカーブで、ここから下り勾配へと転じます。
2コーナー半ばから向こう正面、3コーナー半ばにかけて約4mの下り坂です。
向こう正面半ばの平坦部分を挟み、残り230m地点まで長い下り坂が続きます。
向正面の山の頂上から3~4コーナー中間までも、非常に緩やかで、スピードに乗りやすいカーブです。
ゴール前直線では2回目の110mで2.2mの勾配率2.24%の急坂を一気に上がります。
最後の直線距離は310mと、中央競馬4場の中では最短距離です。
アメリカジョッキークラブカップ(AJCC)のレース展開は、2コーナー半ばからの下りから徐々にペースアップしていき、残り1200m地点からのロングスパートで体力消耗していますので、2回目のこの急坂は中山芝2200mの最大の難関です。
文字通りの国内屈指のタフなコースです。アメリカジョッキークラブカップ(AJCC)は、逃げ切り、直線一気も難しく、後半の向正面あたりから長く脚を使えるスピードの持続性、スタミナと急坂を上がるパワーが求められます。
中山競馬場芝2200mで好走実績がある馬が再度激走することもあります。
アメリカジョッキークラブカップ(AJCC)では、人気薄でも中山競馬場芝2200m巧者は、おさえておきたいレースです。
【アメリカジョッキークラブカップ(AJCC)2024予想】データ分析と傾向
アメリカジョッキークラブカップ(AJCC)過去10年人気別成績
1番人気【2.3.0.5】
2番人気【3.0.1.6】
3番人気【1.2.2.5】
7番人気【2.1.1.6】
1番人気は取りこぼしが目立つ。
勝ち馬は1番人気から7番人気まで幅広く出ている。
11番人気が2連対など馬連平均配当は7千円台と波乱傾向。
アメリカジョッキークラブカップ(AJCC)過去10年年齢別成績
4歳馬【2.4.3.16】
5歳馬【3.1.3.21】
6歳馬【4.2.3.29】
7歳馬【1.3.1.49】
6歳馬は年齢別の優勝数が最多で、回収率も優秀、
好走9頭中6頭は4番人気以下、
好走9頭中7頭に重賞勝利歴があり、
9頭中8頭はレスキャリア21戦以下。
レース間隔をあけて使われてきた実力ある6歳馬の激走が多い。
7歳以上も軽視は禁物。
アメリカジョッキークラブカップ(AJCC)過去10年前走別成績
有馬記念組【2.0.0.10】
G1組【5.3.2.27】
重賞組【8.9.8.7】
今回昇級組【1.0.1.14】
G1組単勝回収率は100%を超え。
重賞組が好走馬の大半を占めている。
今回昇級組は厳しい。
アメリカジョッキークラブカップ(AJCC)過去10年前走上がり別成績
前走上がり1位【3.4.2.4】
前走上がり2位【2.0.2.5】
勝ち馬10頭中8頭が前上がり5位内を記録。
アメリカジョッキークラブカップ(AJCC)過去10年枠順別成績
1~4枠4勝
5~8枠6勝
外枠の方が優勢、連続開催最終週で外差し決まりますが、
過去10年で7枠の上位人気は4頭が全滅、8枠は1頭も人気になっていない。
外枠は5枠6枠が狙い目。
アメリカジョッキークラブカップ(AJCC)データ分析まとめ
勝ち馬は1~7番人気まで幅広く出ている
4歳馬軽視、6歳馬優秀
前走重賞組が中心
連続開催の最終週で外差しが決まる
【アメリカジョッキークラブカップ(AJCC)2024予想】本命馬候補5選情報
【モリアーナ】一瞬の瞬発力
父エピファネイア。母ガルデルスリール。母の父ダイワメジャー。
デビュー戦の2歳新馬は、好位追走から直線外から追われて33秒0のメンバー中最速上がりの末脚で抜け出し2着馬に3馬身差をつけて1着、牝馬特有の瞬発力があることを示しました。
コスモス賞は、スタート出遅れましたが、スッと2番手まで上がっていき、直線追われてからの伸びが鋭く、抜け出して2馬身差をつけ1着。
クイーンカップは、内枠から控えて後方待機、4コーナーで外へ出され、直線34秒0のメンバー中最速上がりの末脚で追い上げ僅差の3着。
前々走の紫苑ステークスは、内枠から控えて15番手を追走、直線に入って勢いよく追い込んで34秒3のメンバー中最速上がりの末脚で一気に伸びて1着。
前走秋華賞は、後方14番手からインコースに入れて追走、勝負所で前が詰まり、追い出しが遅れましたが、それでも直線で追い上げ、5番手に上がりました。
紫苑ステークスで短い中山の直線で4コーナー14番手から34秒3のメンバー中最速上がりの末脚で豪快に差し切っています。
一瞬の瞬発力があり中山コースでならアメリカジョッキークラブカップ(AJCC)で、直線一気でまとめて差し切っても驚けません。
【ボッケリーニ】インコースを上手く立ち回る
父キングカメハメハ。母ポップコーンジャズ。母の父ダンスインザダーク。
昨年の日経賞は、どこを通っても極悪馬場の明らかに状態の悪いタフな馬場開催、道中は控えて7番手の中団に控え、直線外から上がっていき、勝ったタイトルホルダーには離されましたが、2着争いでは先着して実力は示せました。
鳴尾記念は、中団の8番手に控え、早めに仕掛け、4コーナーで馬群の外を回って上がっていき、大接戦をクビ差制して1着、絶対に抜かせない勝負根性はG1級です。
前走の京都大賞典は、先団を見る5番手のポジションでインコースを進み、直線でも内ラチ沿いから上がっていき、クビ差で競り負け2着も、うまく立ち回って好走。前走のチャレンジカップは、7番手に控えて追走、馬群の中から内ラチ沿いを伸び、ゴール前の叩き合いでハナ差競り負け2着。
ここ2戦勝ち馬とタイム差なしの連続2着、インコースを上手く立ち回れ、直線もインから馬郡にひるまず抜け出す勝負根性があり、アメリカジョッキークラブカップでの好走の可能性は十分にあると思われます。
【チャックネイト】近6戦は全て3着以内
父ハーツクライ。母ゴジップガール。母の父Dynaformer。
昨年の早春S(3勝クラス・東京芝2400m)は、逃げるサペラヴィからは離れた4番手を追走、直線間を割って進出して3着。
江の島S(3勝クラス・東京芝2000m)は、外枠から9番手を追走、直線は外へ出されて追い込んで、3着争いで先着。
前々走の六社S(3勝クラス・東京芝2400m)は、道中は7番手の中団を追走、直線外目から伸びて抜け出して先頭に立つと抜かせず1着。
前走のアルゼンチン共和国杯は、8番手の馬群の中を追走、直線に入ってスペースがなく、外へ出されて伸び3着同着。
重賞初挑戦で善戦して実力を示しました。
近6戦は全て3着以内に好走、アルゼンチン共和国杯で3着同着した実力から、アメリカジョッキークラブカップでの好勝負は必至になりそうです。
【マイネルウィルトス】長距離適性が高い
父スクリーンヒーロー。母マイネボヌール。母の父ロージズインメイ。
1年の休み明けだった昨年の函館記念は、スタート出遅れ最後方追走から直線35秒5のメンバー中最速上がりの末脚で、函館の短い直線で4着まで追い上げました。
京都大賞典は、前日の雨の影響で時計が一気に遅くなり、直線は上がりを要して、道中は内寄りを追走していた馬の好走が多かった中、出遅れて4コーナー12番手から外を回って34秒9のメンバー中最速上がりで6着まで追い上げてゴール。
前々走のアルゼンチン共和国杯は、17番枠から11番手に控えて後方から追走、直線外から一気に進出しましたが、内を突いて伸びてきたゼッフィーロに抜け出され2着。
前走のステイヤーズステークスは、前半は8番手の中団を追走から、早目にポジションを上げていき、直線では2番手に上がってきましたが、テーオーロイヤルが伸びてきて交わされ2着、長距離適性が高いことを示しました。
スタミナと持続力に加えて直線での瞬発力があります。前走のからの距離短縮でパフォーマンスを上げてくる可能性があります。
【ラーグルフ】やや距離が長い
父モーリス。母アバンドーネ。母の父ファルブラヴ。
昨年の月岡温泉特別は、内枠から控えて中団のインコースを追走、直線でも内を突いて伸びて抜け出し1着。甲斐路Sは、中団追走から直線で外へ出されつつ差を詰め交わして1着、2馬身差の圧勝で、1分58秒0の時計も優秀でした。
中山金杯は、中団の前目を追走から勝負所で上がっていき、4コーナーで外を回って、内で逃げ粘っていたフェーングロッテンに並んで交わし、外から迫ってきたクリノプレミアムの追撃をハナ差おさえて勝ちました。
大阪杯の高速決着は合わず11着でした。血統的にも距離は2000mまでかと思われ、2200mはやや距離が長いかもしれません。
【アメリカジョッキークラブカップ(AJCC)2024予想】穴馬候補5選情報
【クロミナンス】東京で2勝、中山で2勝
父ロードカナロア。母イリュミナンス。母の父マンハッタンカフェ。
前走のノベンバーS(3勝クラス)は、4ヵ月半ぶりの実戦でしたが太目感はなく、中団追走から直線は外へ出されて伸び、内の馬を交わし、32秒6の鋭い末脚でゴール寸前、内のクルゼイロドスルに並び、ハナ差で交わして1着。
東京で2勝、中山で2勝と直線が長くても短くても、瞬発力を発揮できる自在性の高い馬です。
ある程度前の方で競馬しながらでも末脚が切れるタイプで、中山コースへの適応能力は高いことが推測されます。
【ショウナンバシット】距離短縮で変わり身
父シルバーステート。母ギエム。母の父Medaglia d’Oro。
昨年若葉S(L)勝利以降は不振が続いています。
しかし菊花賞、ジャパンカップなどのG1で実力から仕方のない結果かもしれません。
芝2200mでは1勝・2着1回、不振の原因は距離が長すぎた可能性があり、アメリカジョッキークラブカップの芝2200mへの距離短縮で変わり身を見せてくる可能性もあると思われます。
【アドマイヤハレー】中山コース適性が高い
父モーリス。母アドマイヤシーマ。母の父ディープインパクト。
前走の迎春S(3勝クラス)は、スタートで遅れ、前半は後方7番手を追走から、早目に上がっていき2番手へ、さらに直線で先頭に立ちそのまま先頭をキープして並ばせずに1着。
中山コースは【2.2.1.5】、特に前走中山芝2200mで快勝しています。
中山コースへの適性が高く、人気薄でも馬券に絡んでくる可能性はあると思われます。
【サンストックトン】冬場中山合う
父ワールドエース。母シナル。母の父キングカメハメハ。
昨年のSTV賞(3勝クラス)は、9番手に控えて追走、直線、34秒4の力強い末脚で抜け出しクビ差先着して勝利。
前走のディセンバーS(L)は、1番人気に支持されましたが、14キロの馬体重増加の太目のこりで動けず8着。
昨年1月迎春S(3勝クラス・中山芝2200m)をハナ差の接戦の2着、冬場の力のいる馬場の中山コースは合いそうです。
人気薄での激走に期待できそうです。
【シルブロン】展開次第
父トーセンジョーダン。母グレイシアブルー。母の父サンデーサイレンス。
芝2200mから芝2500mで3勝・2着1回。
前走ステイヤーズステークスから1400mの距離短縮で変わり身を見せてくる可能性は十分にあると思われます。
一瞬の瞬発力があり直線が短い中山コースへの適応能力は高く、ハイペースの前崩れの展開になれば、好走が期待できる実力馬です。
【アメリカジョッキークラブカップ(AJCC)2024予想】血統馬5選情報
【モリアーナ】直線が短いコースへの適応力高い
父エピファネイア。母ガルデルスリール。母の父ダイワメジャー。
父エピファネイアは菊花賞とジャパンカップに勝ちエフフォーリア、サークルオブライフやなどを輩出。
エフフォーリアは、中山内回りコースの皐月賞、有馬記念を優勝しており、内回りの機動力を、エピファネイアは伝えています。
母の父ダイワメジャーが配合されて、マイラーっぽい一瞬の末脚を受け継いで、直線が短いコースへの適応力が高められています。
【マイネルウィルトス】消耗戦向きの血統
父スクリーンヒーロー。母マイネボヌール。母の父ロージズインメイ。
父スクリーンヒーロー産駒は重賞24勝母の父ロージズインメイはドバイワールドカップ、ホイットニーHのG1で2勝を挙げました。
代表産駒にJBCスプリント(G1)を優勝したドリームバレンチノがいます。母の父ロージズインメイは、産駒にスプリント重賞を5勝したドリームバレンチノがいます。
母マイネボヌールは4勝馬。
母母コスモフォーチュンはコスモプラチナの半姉で北九州記念の勝ち馬です。
スクリーンヒーロー×ロージズインメイはマイネルグリット(9勝)やマイネルジェロディ(4勝)などと同じです。
消耗戦向きの血統配合でアメリカジョッキークラブカップへの血統的適性は高いと思われます。
【ラーグルフ】中山適性高い
父モーリス。母アバンドーネ。母の父ファルブラヴ。
ロールボヌール(地方6勝)やスーパーアキラ(JRA3勝)の近親で、4代母のアンブロジンンの牝系からはワンアンドオンリー(日本ダービー)、ノーリーズン(皐月賞)、グレイトジャーニー(シンザン記念)などが出ている優秀な血統です。
そこにモーリスが配されて、サドラーズウェルズ、サンデーサイレンス、ロベルトクロスを重ね中山コースへの適性を高めています。
モーリス産駒は16勝していますが15勝は2000m以下、2200mはジェラルディーナのエリザベス女王杯1勝だけです。
血統的に2200mの距離は少し長すぎるかもしれません・
【ショウナンバシット】パワーと機動力
父シルバーステート。母ギエム。母の父Medaglia d’Oro。
エヴィダンシア(JRA2勝)、テリオスルル(JRA1勝)の半兄弟です。スーパーフェザー(JRA4勝)の近親で、母母オーサムフェザーはBCジュヴェナイルフィリーズ(米G1・ダ8.5F)の優勝馬。
母父メダグリアドーロは、サドラーズウェルズ系でファントムシーフ(共同通信杯優勝)やハヤブサマカオー(JRAと地方で8勝)の母父でもあります。
父シルバーステートは、ウォーターナビレラ(ファンタジーステークス優勝)、エエヤン(ニュージーランドT優勝)、セイウンハーデス(七夕賞)などを輩出しています。
パワーと機動力を受け継いだ血統でトリッキーな中山向きです。
【カラテ】時計の掛かる馬場
父トゥザグローリー。母レディーノパンチ。母の父フレンチデピュティ。
2代母レイサッシュはステイゴールドの半妹、3代母のゴールデンサッシュはサッカーボーイの全妹。
ゴールデンサッシュは、ステイゴールドの母、ショウナンパンドラの母の母で成長力豊富な血統です。
父トゥザグローリーはキングカメハメハ産駒で、重賞を5勝、有馬記念(G1)で、3着と好走しています。
高速決着になると厳しいですが、時計の掛かる馬場になれば有力です。